FEATURE

ハイレゾ配信も準備中

MUSIC/SLASH(エムスラ)は
オーディオファンの救世主になれるか。
代表・谷田光晴氏インタビュー

2020年09月01日
インタビュー:永井光晴
記事協力:音元出版


待望のハイレゾサービスは、12月ローンチ

─── さて、オーディオファンの注目は当然、非圧縮の話だと思うんですが。(今年12月に、フラグシップサービス「MUSIC/SLASH Premium」をローンチすると告知済み)

谷田:96kHz/24bitのフラッグシップサービス「MUSIC/SLASH Premium」の音質については公開されていますが、通常版のハイレゾとの間に、さらにもう一回、高音質アップデートを行う予定です。それに関しての内容は、現時点では非公開です。

あくまではハイレゾというのは、私たちのベンチマークとしての挑戦の可能性を示唆しているものですが、たとえ「ハイレゾで聴きたい」という意見があったとしても、実際にハイレゾで聴ける人は圧倒的に少ないんです。それではアーティストの収益にならない。

具体的なハードルとしては、ハイレゾになった途端、標準ブラウザーでの配信は無理になります。より視聴環境が限定され、専用アプリ化することになるので、視聴するには3段階くらいチェック項目があります。「アプリをダウンロードできるかどうか」。つぎに「アプリが動作するハードウェア環境かどうか」。「そしてハイレゾ再生できる機器を所有しているかどうか」。


ハイレゾサービスはF1開発のようなもの。それでも期待に応えたい

谷田:ハイレゾは私たちからするとF1開発みたいなものです。一般車を作るためにその技術開発をどこまで追求できるのかを見極めるため、ハイレゾをやりたいというのはあります。

エムスラの登場によって、「音質」というものに気付いてしまったので、この先、まちがいなく音楽配信の世界では、高音質合戦がはじまると思います。それ自体はオーディオファンにとって嬉しいことかもしれません。

でも、私たちはそれに負けないものを絶対に作らなければいけないので、ハイレゾの開発をしつつ、より音質にこだわりのある一部の人たちと一緒にプレミアムな体験というものを追いかけていくことになります。その第一歩がハイレゾであり、ハイレゾの視聴デバイスとしてスマートフォンやPCで聴く人も圧倒的にいると思うので、そうなったときに、実際にハイレゾ視聴機器を製造販売しているラディウスさんと一緒にやるという発表になりました。

オーディオファンは自分自身でなんとしてもハイレゾ環境を整えて、聴こうとしてくれるはずですから、全く心配はしていないんです(笑)。むしろ課題は、今回の山下達郎さんの配信で高音質に目覚めてしまった人たち。より感動体験がしてみたいと思っているはずで、再生可能ヘッドホンを推奨してあげるために、「この印があるヘッドホンで聴いてくださいね」ということができるように、ちゃんと道筋をつけてご案内していくことが重要です。

ラディウスさんと組むことになった背景には、その開発力とノウハウ、そしてそれ以上に「自分たちの高音質技術を、エムスラを介して世の中の人たちに聴いてもらいたい」という熱い思いが凄く伝わってきたからです。

エムスラのブランドステートメント「ほんとうに音楽を届けたい人、音楽を届けてほしいと願う人たちのために、最高の品質で答えていく」と同じ思いが、間違いなくラディウスさんからも寄せられたことを大切にしていきたい。一緒に夢を見ていけるのではないかと思って、ハイレゾ挑戦を決断しました。

ハイレゾをリアルタイム配信しようと思ったとき、すでに技術的な課題はたくさん出ています。これからそれをどう超えていくことができるかが私たちの仕事です。技術的にはラディウスさんのサポートがあり、そこに私たちのノウハウも入れて、ひとつにすることになります。

実際にはハイレゾの「MUSIC/SLASH Premium」を、どれくらいの人たちが聴いてくれるかといえば、普通のエムスラより少ないと思うんです。それでも私たちは、その「もっといい音で聴きたい」という思いに答えたいと考えています。