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『TATSURO YAMASHITA SUPER STREAMING』体感レポート

山下達郎が「MUSIC/SLASH」で
行った高音質ライブ配信を、
本気のオーディオで聴いてみた

2020年08月19日
岩井 喬
記事協力:音元出版


これより凄いとどうなる? ハイレゾ配信にも大いに期待!

プログラムの終了は当初予定から20分余りオーバーしたが、実際のところ、まだまだ観たい、物足りないという感覚も残るほど、実に充実した内容であった。ライブストリーミングを体感した視聴者の誰もが満足できる至福の時間であったに違いない。

総括すると、ライブストリーミングそのものの映像、音声のクオリティは予想していたものより高く安定しており、最後まで途切れることなく楽しむことができた。ストリーミング開始当初、試聴室の環境では映像と音声の間にわずかなズレがあり、リップシンクが厳しいと感じる局面もあったが、これは1分もしないうちに状況が改善されていった。

そしてやはり、視聴する機材のグレードによって満足度の違いはあった。熱量の高いMUSIC/SLASHの高品位なサービスを余すことなく味わうためには、受け取るほうも本気で準備が必要、ということだろう。

ストリーミング用にミックス&マスタリングを施したこだわりの深さには、終始驚かされた。320kbpsというBSデジタル放送音声を超えるAAC-LC 384kbpsクオリティで、ある程度は音質のよさが担保されていたとはいえ、その器を上手に使い良質なサウンドを届けるための作法が必要不可欠であることも確認でき、今回の取材で大きな収穫となった。

そのほか不満点としては、強いて言うなら映像の鮮度感はあと一歩ほしいと感じた。音質重視ということで仕方ない部分や、使用環境によるところも少なくないのかもしれないが、もう少し階調性の細やかな、ノイズの少ない映像であってほしい。音質面では不満というよりも、ハイレゾクラスのさらなる高音質であったなら、より感動も高まるのではないかという点で、さらに期待が高まった。

実際、年末からは、今回のライブストリーミングで得られた感動を超える、ハイレゾ品質(96kHz/24bit)で音声を配信する「MUSIC/SLASH Premium」がスタートするという。

アーティストの息遣いやカウントの合間など、静寂がもたらす緊張感、階調豊かな余韻が生み出す演奏の機微は圧縮系フォーマットでは表現しにくい世界である。生で音楽に触れるライブ会場の鮮度感、ボーカルや楽器の生々しい響きが視聴者の身近な環境まで届くリッチな体験は、MUSIC/SLASH Premiumならではの醍醐味となっていくであろう。そこには、これからのミュージックシーンを変え得るパワー、可能性が秘められている。

MUSIC/SLASHをプラットホームとした新次元のライブストリーミングの今後の展開に大いなる期待を込め、ここで筆をおきたい。


<山下達郎『TATSURO YAMASHITA SUPER STREAMING』セットリスト>

1.「ターナーの汽罐車」
2.「あまく危険な香り」
3.「砂の女」
4.「希望という名の光」
5.「SINCE I FELL FOR YOU」
6.「WHAT'S GOING ON」
※2018年3月京都の老舗ライヴハウス、拾得(じっとく)でのライブより。

7.「ハイティーン・ブギ」
8.「SPARKLE」
9.「BOMBER」
10.「硝子の少年」
11.「アトムの子」
12.「恋のブギ・ウギ・トレイン」
13.「さよなら夏の日」
※2017年『氣志團万博』(千葉県・袖ケ浦海浜公園)でのライブより。
※「アトムの子」と「恋のブギ・ウギ・トレイン」には竹内まりやがコーラスで参加。

14.「SO MUCH IN LOVE」
※1986年郡山市民文化センターでのライブより。

15.「プラスティック・ラブ(PLASTIC LOVE)」
※1986年中野サンプラザでのライブより。

クロージング曲
「THAT'S MY DESIRE」