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特集記事

音元出版編集部が語る
『New Normal(新しい日常・常態)
時代の音の未来』


―一部では、受け入れられないといった声もありますが。

永井:我々は、テレビの歌番組なんかで、アーティストが歌っているのをタダで見ることに慣れてしまっているので、映像でライブを見ることに対してお金を払うという新しい価値の付け方がまだわからない人が多いのだと思います。価値をどう見出すのかは、今後の課題になってくるでしょうね。

あと、おそらくそういう否定的な人たちは、ライブストリーミング配信を、スマホとかで見ているのではないかと思います。スマホだと画面も小さいし、音質もよくないし、「これなら実際の現場にやっぱり行きたい」と思うのはごく自然な現象です。でもそれは、配信側の責任ではなく、受け手側の問題。プロジェクターとスピーカーがあれば、もっと臨場感いっぱいの、大迫力のライブを楽しめると思うんですけどね。

―これからのデジタル音楽シーンにおいて、永井さんが期待することはなんでしょうか?

永井:私個人の意見としては、コロナ禍が終わっても、ライブストリーミングはライブ体験のひとつの手法として定着していってほしいなと思います。いまは仕方なく無観客でライブ配信をおこなっているアーティストが多いですが、これからも通常どおりライブをおこないつつ、それをリアルタイムで同時配信する。これまでだったら、多くの人があとから編集されたDVDを見るしかなかったレアチケットのライブも、ライブストリーミングが定着すれば、無制限の人がその現場を体験できるようになります。地方や海外に住んでいて、物理的にその現場に行けない人たちにとっても絶対的なサービスになります。

そして、ライブストリーミングのために、配信側はいま、すこしでもリアルの現場の音を届けるために、最高の音響や配信システムを整備しようと急ピッチで努力しています。音質もどんどん上がってきている。それを受け手側は、“オーディオやホームシアターの趣味”という形で簡単に答えることができます。一定以上のシステムや機材を家で揃えていれば、もしかしたら、実際のライブ現場よりも良い環境を構築できる可能性もあるんですから。


―最後に、『SOUND POWER BASE』の魅力をお聞かせください。

音でもっと生活や社会を豊かにしていこうというコンセプトのSOUND POWER BASE。まずは“ライブストリーミング”というテーマからスタートしていますが、それは、このコロナ禍で注目されているからピックアップされているのだと思います。コンセプトにもある“音”というテーマは、ライブストリーミングに限らず、まだまだ無限に広がっていて、私たちのようないちオーディオ雑誌の編集者がやっても手に余ってしまいます。もちろんそれは、大手の企業一社の力でもできません。でも、みんなでやればできるかもしれない。私は、そこにSOUND POWER BASEの可能性を感じています。

いまは、得意分野を持っている人が集まって、モノ・コトが動く時代ですから。そういった観点から考えても、何か新しいことが起きるのではないかという期待はすごくあります。私も、オーディオの出版社ならではのことは思いつくはずですし、力になれたらなと思っています。


―ありがとうございました。

COMPANY INFORMATION

株式会社音元出版。昭和24年5月創立。オーディオ・ビジュアル機器、ホームシアターの情報を雑誌、WEB、フリーマガジンとして発信、関連イベント等などを行う専門メディア会社。オーディオ・ガジェットの専門ウェブサイト「PHILE WEB」(ファイル・ウェブ)は、月間ユニークユーザー数560万人を集める。主な定期刊行雑誌は、『オーディオアクセサリー』(昭和51年創刊)、『ホームシアターファイルPlus』(平成10年創刊)、『analog』(平成12年創刊)。ほかにも市場の優秀製品を顕彰する「オーディオ銘機賞」、「VGP」、「デジタルカメラグランプリ」などを主催している。