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特集記事

音元出版編集部が語る
『New Normal(新しい日常・常態)
時代の音の未来』


―CDがなくなるなんて、誰も予想していなかったですよね。

永井:そう。まさか、CD がこれほど少なくなって、レコードが増えるなんてね(笑)。驚きです。それで言うと、いま人気のワイヤレスイヤホンだって、10年後はもうなくなっている可能性だってありますから。

音楽を聴くデバイスは、あくまで表層的なもので。音楽は形を変えずにずっとここにあって、それを我々が何を使って楽しむか、それが時代に応じて変化しているに過ぎません。

―ウェブメディア『PHILE WEB』を運営されている音元出版さんですが、コロナ禍において、変化などはありましたか?

永井:わかりやすく数値だけを見ると、緊急事態宣言下の“巣篭もり需要”によって、『PHILE WEB』のアクセス自体は飛躍的に伸びました。家にいれば、PCやスマホでインターネット検索する機会は、自然と増えますからね。

そういう意味では、出版業界全体においては、コロナ禍というのは追い風になっている、というのが正直なところです。みんな、時間があるから漫画やウェブメディア、雑誌を読むので。

“オーディオファン”はコロナ禍に負けない。むしろ、需要自体は増えていると言えます。というのも、オーディオやホームシアターは、“おうち趣味”。外出できず、家で過ごさざるを得なくなった人たちがすることは、家での時間を充実させ、より生活をグレードアップさせること。結果として、世界的に見てもハイエンドオーディオ機器の一部は、よく売れています。そう言う意味でも、『PHILE WEB』のアクセスの伸びには納得できますね。

―オーディオ、ウェブなど、時代とともに変化していくものがある一方で、ずっと変わらない「音楽」の価値とはなんでしょうか?

永井:もう10年以上前になりますが、ミュージシャンの坂本 龍一さんが言った「音楽家というのは、本来は人の前で演奏することが役割。CDなどのパッケージメディアのビジネスで売り上げを伸ばすのではなく、オーディエンスの前で演奏することこそが、音楽家のやるべきことではないのか」という言葉があって。ああ、まさにこれこそが音楽の価値だなって思っているんです。

それで言うと、ミュージシャンとオーディエンスがリアルタイムで繋がるツールである「ライブストリーミング」は、いまの時代において、ごく自然なことです。コロナ禍になって急速に注目されて、取り沙汰されているライブストリーミングですが、実際の現場でのライブ演奏と同じくらいにライブストリーミングは真っ当で、理にかなったサービスだなと思っています。